紙や木材を材料にモノづくりをしてきたコクヨは
環境と経済の両立をテーマに
森の保全にも力を入れている。
〈結の森〉と名付けられた高知県の森を舞台に
繰り広げられる試行錯誤をみてみよう。
CSR活動からはじまった
森林保全〈結の森〉
日本の森を守りたいと〈結の森〉プロジェクトを立ち上げたのは2006年。日本は豊かな森に覆われていると思われがちだが、実は戦後に植えられたスギやヒノキの森は、安価な外国材に押されて管理を放棄されてしまったところも多い。そんな実情を背景に、コクヨの森林保全の取り組みはスタートした。
最初は100ヘクタールではじまった〈結の森〉。地元の森林組合の力を借り、手入れをし、苗木を植え、現在その面積は5000ヘクタールを超えるまでに広まった。東京ドームで換算するとざっと約1100個分。イメージできないほどの広大な森、その保全にコクヨは取り組んでいる。
森から生まれた家具の
拡大を目指して
〈結の森〉を管理するうえで欠かせないのが間伐という作業。木の成長に合わせて間引きをすることで、森を健全に保つための大切な仕事だ。
「その間伐材を利用して、コクヨの製品として世に出したいんです。ただ、スギやヒノキの材は柔らかすぎて一般的には家具には向かないとされています。そのため、間伐材でしかつくれないものはないか、日々考えています」と、〈結の森〉プロジェクトを担う齊藤申一。
自然の恵みである間伐材から製品が生まれたならば、コクヨにとってはこれまでにないサステナブルな取り組みになる。〈結の森〉は、まさに循環の実験場なのだ。
日本の森を
世界の環境を守りたい
これまでは社会貢献的な意味合いが強いプロジェクトだった〈結の森〉。しかしいま、蓄積してきた森の価値が世界的に認められるかもしれない局面にある。
というのも、2022年にモントリオールで開催されたCOP(国連生物多様性条約締約国会議)で、国土の30%を保全地域にすることが決定。現状、日本の国立公園や国有林といった保全地域は20%しかなく、民間が管理する森が注目を集めているというのだ。
森林保全事業をはじめてもうすぐ20年。育て、守ってきた〈結の森〉の自然が、日本の誇りとなる日に向けて、まだまだ取り組みはつづいていく。
オフィス内の内装にも間伐材を取り入れている。
間伐で得られる材の有効活用方法を模索している。
コクヨが保全を手掛ける〈結の森〉と高知県四万十川の清流。
CSV本部 サステナビリティ推進室
齊藤申一
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